試されるのは、
君の“防災力”だ!

はじめまして!「10の選択」の主人公、ジャックだよ。何気ない日常に起きた、まさかの大震災。気がつくと、僕は大好きなパパを見失って、ひとりぼっちになってしまったんだ…このストーリー選択動画「10の選択」では、動画を視聴しながら僕に代わって各設問で2択のうちひとつを選んでいくよ!試されるのは君の“防災力”。新しい仲間との出会いや発見を通して、防災対策に関する正しい知識を身につけてほしいな。

覚えておこう!
最低限の応急手当

予告なしにやってくる大地震…そのときあなたは何ができるのか

誰にも予測することができない、突然の大地震。

何度も何度もやってくる余震に怯えながらも、次の行動を起こさなければいけないという焦りと、どこに行って何をすればいいかわからず不安な気持ちが入り交じって、僕は自分がすごく情けなくなってしまった。

日本は地震大国だって、誰かから聞いたことがあったのに。災害の備えが大事だって、どこかで聞いたことがあったのに。それなのに僕は、「また今度」「次の機会があれば」「いつかやればいい」って、軽く考えていたんだ。

大事なことだって頭ではわかっていたのに、そうやって先延ばし先延ばしにしていたから…本当に地震に遭ってしまった僕は、今ここで何もできずにただ立ち尽くしている。あの時、もっと本気で災害対策のことを考えていたら、すぐに行動をしていたら、僕の行動はきっと違っていたんだろうな。

応急手当の目的とは?

救命現場に居合わせた人を指す言葉「バイスタンダー」。このバイスタンダーが行う応急手当の目的は、「救命」「悪化防止」「苦痛の軽減」の3つです。反応しない、呼吸や心臓の停止、気道異物(喉に異物が詰まった状態)などの状態であった場合は、「救命」を目的とした手当が必要になります。また、出血や腹痛、骨折、熱傷などの症状が出ている場合には、「悪化防止」「苦痛の軽減」を目的とした応急手当が必要です。

1.救命

応急手当の一番の目的は、いのちを救う「救命」です。応急手当を行う際には、救命処置を目的とした手当を最優先で実施します。

2.悪化防止

応急手当は、病気やけがを治すために実施するのではなく、状態をこれ以上悪化させないことを目的とします。傷病者が訴えている内容や症状を十分に把握したうえで、必要な応急手当を実施。悪化防止を目的としているため、治療については医師に任せ、薬の使用も原則、医師の指示のもとで行います。

3.苦痛の軽減

心身ともにダメージを受けている傷病者に対して、できるだけ苦痛を与えないよう手当を行い、さらに「もうすぐ救急車が来ます!」と声掛けをしたり、できるだけ静かな環境となるよう配慮したりすることも、応急手当の目的です。

ファーストエイドと一次救命処置

心肺停止のような緊急性のある状態ではないものの、急な病気・ケガをした人を助けるための最初の行動を「ファーストエイド」と言います。ファーストエイドの具体的な対応には、ケガの応急処置(止血や冷却など)や体位の調整などがあります。一方、「一次救命処置」とは、心肺停止状態の傷病者に対して、医療従事者でなくても行える処置を指します。具体的には、救急病態であるという認知、119通報、気道確保、人工呼吸、心臓マッサージ、AEDの使用などがあります。

ちなみに一次救命処置の次に行われる医療従事者による処置が「二次救命処置」。二次救命処置には、モニターや除細動器、点滴、薬剤、挿管などの器具が使用されます。

「救命の連鎖」の重要性とは?

救命の連鎖(チェーン・オブ・サバイバル)とは、心停止した人を救命するために必要な一連の行動が、途切れることなく素早く連続して行われることが重要であるという概念。この連鎖の各段階がスムーズにつながることで救命率が飛躍的に向上し、一つでも欠けると救命が難しくなるとされます。「心停止の予防」、「早期認識と通報」「一次救命処置(心肺蘇生とAED)」「二次救命処置と集中治療」が、その後の救急隊による高度な処置と合わせて救命率を高める上で不可欠です。

医療機関へ引き継ぐまで

備えておきたい応急手当セット

災害時は、打撲ややけど、切り傷などの外傷を負いやすく、また、食料・生活物資の不足により健康維持が難しい場合もあります。そのうえ災害時は医療機関が機能しなくなることもありますし、すぐに診察が受けられない場合もあるでしょう。救急車の数にも限りがあるため、いざというときの応急手当が自分たちで行えるよう、防災対策として救急セットを用意しておきましょう。

□ 絆創膏
□ 消毒液
□ はさみ
□ ピンセット
□ ガーゼ
□ 包帯
□ マスク
□ 軟膏
※切り傷、虫刺され、保湿用など
□ 爪切り
□ 三角巾
□ 体温計
□ 携帯用ホイッスル
※助けを呼ぶ際などに使用
□ アイスパック(瞬間冷却剤)
□ 使い捨て手袋
□ 綿棒
□ 薬
※常備薬、かぜ薬、胃薬、頭痛薬など

応急手当セットのポイント

小さいお子様がいるご家庭は、小児用の薬も用意しておく、もしくは子どもから大人まで幅広い年齢層が使用できる薬を用意するなどの配慮が必要です。また正しい使用方法を確認できるよう、説明書(添付文書)はセットにしておき、処方薬については処方箋やお薬手帳(コピーでも可)も忘れずに用意しておきましょう。

応急手当は、病院や医師につなぐまでの言わば「つなぎ」の役割。もちろんケガや病気の対処は病院に行く、医師の診察を受ける、が大前提ではあるけど…いつもの「当たり前」が機能しないことも多い災害時は、応急手当が大きな役割を担うこともありそうだ!

災害発生直後は、公助(救急車など公的機関の援助)の対応能力をはるかに超える多数の傷病者が出ることが予想される。自分の身はできるだけ自分で守る「自助」を基本に考え、災害に備えることが大事だ。ホイッスルを携帯しておく、などは今すぐできる備え。まだ準備ができていない人は、さっそく実行するといいぞ。

身につけておきたい応急手当

心肺蘇生法(胸骨圧迫・人工呼吸)、AEDの操作方法、RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)、熱傷(やけど)、ひどい出血、けいれんなどの応急手当を身につけておくと、災害時も役立つシーンがあるはずです。

まずは傷病者の安全を確保し、状況に応じて119番通報やAEDの準備を行い、通信指令員の指示に従いながら、適切な応急手当を行うことが重要。日本赤十字社 東京都支部でもセミナー・講習会を実施していますので、積極的に参加してみてはいかがでしょうか。

AED

心肺蘇生法(胸骨圧迫・人工呼吸)

意識がなく倒れている人がいたら、まず胸とお腹の動きを見て呼吸をしているか10秒以内で確認します。呼吸がない、もしくは普段通りの呼吸ではない場合(しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸)は心停止と判断し、胸骨圧迫を実施します。胸骨圧迫を30回、人工呼吸を2回、胸骨圧迫30回…これを救急車到着まで続けます。もし周囲に複数の人がいる場合は、交代で行いましょう。

直接圧迫止血法

直接圧迫止血法は、基本の止血法であり応急手当の際も最初の選択肢となります。感染予防のためビニール手袋やビニール袋を利用し、出血している傷口を直接ガーゼやハンカチなどで強く押さえ、しばらく圧迫することで止血を行います。多くの出血は、この方法で止血可能ですが、直接圧迫止血法で止血することが困難な場合(太い血管の損傷や四肢切断など)は、次に紹介する「止血帯止血法」など他の選択肢を取ることもあります。

止血帯止血法

出血している上肢・下肢の、心臓に近い部分を帯状のもの(止血帯)で締め上げる止血方法。止血は「直接圧迫止血法」を第一選択肢として考えますが、直接圧迫止血法で止血が困難な場合は、この止血帯止血法を実施します。

RICE処置

RICE処置は「Rest(安静)」「Icing(冷却)」「Compression(圧迫)」「Elevation(挙上)」の4つの処置の頭文字から名付けられた応急手当の方法。打撲や捻挫などの外傷に対する応急手当で、早期にRICE処置を行うことで腫れや傷み、内出血を抑えて回復を助ける効果があります。例えば打撲をしている場合、患部を固定し、安静な状態にしたら骨折がないことを確認したうえで患部を冷却。内出血や腫れを予防するため包帯などで軽く圧迫したら、患部の下に座布団やクッションを入れて心臓より高い位置に保ちます。

骨折の応急手当

骨折は損傷部の変形・腫れなどの状態で判断します。不用意に動かさないようにし、「副子(ふくし)/幹部を固定する添え木」で固定処置を行いますが、副子がない場合は枝や傘、雑誌や毛布などで代用することも可能です。尚、心肺蘇生が必要な場合は、心肺蘇生を優先しましょう。

熱傷(やけど)の応急手当

熱傷(やけど)をした直後、適切な治療が行われなかった場合、回復が遅れたり傷跡が残ったりします。災害時はできることが限られますが、患部に清潔な流水をかけ15~20分ほど冷やします。患部が衣類の下であれば、服の上から流水で冷やしましょう。皮膚が赤く腫れあがり、強い痛みのある中等度以上の熱傷であれば、その後、湿らせたタオルで患部を冷やしながらできるだけ早く医師の治療を受けるようにします。

被覆処置

被覆(ひふく)処置とは、包帯やガーゼを使用して傷口を感染から守ることです。患部をしっかりと洗って清潔にしたら、包帯やガーゼで傷口を覆います。血流を確かめながら、必要に応じてガーゼを重ねたり、包帯を緩めたりして調整を。処置の際には使い捨ての手袋を使用すると、衛生面でも安心です。

AEDによる応急手当

AED(自動体外式除細動器)は、心肺停止の傷病者に電気ショックを与え、心肺機能を回復させる医療装置のこと。心臓マッサージや本人の様子の確認をしている間、周囲にいる人がAEDを準備すると良いでしょう。AEDのふたを開けると自動で電源が入り、使い方が音声やイラストで示されるので、使用方法を正確に覚えていなくても使用できるようになっています。指示に沿って電極パッドを胸部に張り、ボタンを押すだけ。AEDには心臓の動きを読み取って電気ショックの必要性を判断する機能が搭載されているので、医療従事者でなくても安心して救命処置が行えます。

心肺停止の人がいた場合、その場にいる人が適切に処置することで重篤な後遺症や脳へのダメージを防ぎ、救命率も高めることができる。胸骨圧迫とAEDによる一次救命処置は誰もができる救命活動。やり方を覚えておいて損はないぞ。

突然の大地震、慣れない応急手当。災害時はやれることが限られるかもしれないけれど、応急手当の目的や大まかなやり方を知っていれば、できることは増えるはず!自分の身を守るという意味でも、自分の周りの人を守ると言う意味でも、応急手当の知識を持つことは大切なんだ!

応急手当講習を受けてみよう!

日本赤十字社ほか、さまざまな機関が応急手当のセミナー・講習を実施しています。無料で学べる講座から有料でしっかりと知識・スキルが身につく講座までさまざま。個人でも団体でも受講できますので、積極的に参加して万が一の災害に備えましょう。もちろん災害時以外でも応急手当の知識が役立つ場面はあります。事前の学びが、あなたやあなたの大切な人を守るかもしれません。ぜひ前向きに検討してみてください。

東京消防庁の救命講習・応急手当

東京消防庁では、「応急救護講習」ほか、「救命入門コース」「普通救命講習」「上級救命講習」など複数の講習を実施しています。個人での申し込みも、団体での申し込みも可能です。

総務省消防庁「一般市民向け 応急手当WEB講習」

消防庁では、e-ラーニングで基本知識が学べる「一般市民向け 応急手当WEB講習」を用意しています。インターネット環境さえあれば、スマートフォンやパソコン、タブレットで好きな時間に受講可能。救命講習会に行く時間がない方におすすめです。

日本赤十字社「応急手当講習」

日本赤十字社でも複数の講座を用意しています。応急手当の基礎が学べる「基礎講習」だけでなく、「救急員養成講座」「救急法指導員養成講座」など。またオンラインで学べる講座もありますので、チャレンジできそうな講座から受講してみてはいかがでしょうか。

事前の備え(防災対策)に関してより詳しく知りたい方向けに、日本赤十字社では「赤十字防災セミナー」を実施しているぞ。講義だけでなく実技もあり、またエリアごとのハザードマップ・特性に合わせた内容も含まれ、地域に密着した形で学ぶことができる。コミュニティの中でいろいろな人と顔を合わせる機会創出にもなるはずだ。

Take the Quiz

クイズに答えて
“防災力”アップ!

災害や防災に関するクイズです。クイズに答えて君の“防災力”をどんどん高めよう!

動かしてもよい

危険な場所から避難させ安全を確保したら、仰向けにして意識・呼吸の有無を確認します。その後、必要な応急手当をしましょう。救急車を要請してから現場に着くまでの時間は7~8分と言われ、さらに災害時は救急車の到着が遅れる可能性があります。その間に行う救命処置がいのちを救うことも少なくありません。だからこそ、正しい応急手当を身に付けておくことは大切なのです。

助かる確率は10%

平時でも、救急車が出動してから現場に到着するまでの時間は平均7~8分とされます。東京消防庁が出している情報によると、心肺停止状態で救急車到着まで何もしない場合、助かる可能性は10%。だからこそ救急車が来るまでが大切な時間であり、周囲にいる人による救命措置が重要なのです。

心拍の再開率は60%以上

東京消防庁管内のデータでは、一般の方がAEDを使用した場合の心拍の再開率は60%以上。心肺停止状態では1秒でも1分でも早い救命処置が生存率を高め、重い後遺症を防ぐ上で極めて重要です。心停止から1分ごとに救命率が約7~10%低下するというデータもありますから、迷わずAEDを使用した応急手当を実施しましょう。

医療現場に慣れていない人が、目の前に倒れている人を応急手当するというのは、緊張もするだろうし戸惑うこともあるだろう。しかし特に災害時は、そういった場面に遭遇する可能性が高いんだ。だからこそあらかじめ応急手当の方法を知っておくことが大切なんだぞ。

そうだよね。人が倒れている…たくさん出血している…僕だったら頭が真っ白になっちゃうかも。このページでまとめた応急手当の方法を知っているだけでも、万が一のときに行動しやすくなるんじゃないかな!

いろいろなところで講習・セミナーが実施されているから、定期的に参加するのもおすすめだ。応急手当セットの準備も忘れずにな。いつくるか分からない災害だからこそ、いつでも準備ができている状態で生活することが重要だ。

君も「10の選択」にチャレンジしよう!どちらを選択をするか?迷うこともあると思うけど、大地震が発生したときには決断を強いられる場面もたくさんあるはず。だからこそ勇気を出して決断するんだ!

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